UEM18240 日本の甲冑一式

Close up of a samurai helmet

詳細説明

2025年現在、この甲冑の由来に関して分かっていることは「法学部学生ルーベンソン(Rubenson)からの寄贈(1908)」ということだけである。この人物が誰かは不明。この具足一式は、大変質が良く細部全てが揃っている。2種の家紋が施されているが、一つは六つ星、もう一つは水草澤瀉(オモダカ)をあしらったものである。どちらの紋も多くの氏族で使われているが、二つ揃って使われるというのはおそらく松平氏に属するものと推定される。松平氏は藤原氏とも深くかかわりがあり、実際には同じ氏族とみなされる。袖についている薬箱は17世紀に軍学者野口是斎により考案されたものである。

兜

兜の鉢は62枚の、筋のある板で作られており、筋鉢の兜と呼ばれるものである。板は頂点の小さな穴、天辺に向かって繋げられている。これが小さな3層に盛り上がった鉄製の天辺金物(てへんかなもの)に囲まれている。表面は錆塗り(漆塗りの層で、古びて見える仕上がりになっている)で褐色、眉庇(まびさし)には細い模様を彫り込んだ金属(おそらく銅)の縁と鉄製の前立ての支えがある。

首の防御、鐚(しころ)は黒く塗られた鉄製の板で、4つの板が深い青色と深緑の紐で繋がれている。一番上の部分の板は外側に反り返った「吹き返し」があり、黒く塗られた上に金で5つの丸が中央の少し大きめの丸のまわりに施された紋が付いている。一番上部の鐚の板は、釘で鉢に取り付けられているが、これには赤銅(銅と金の合金)で同じ紋が施されている。

鉢の後ろ側には、銅メッキされた輪に揚巻が結ばれており、兜にはオリジナルの結び紐が残っている。

裏当ては損なわれてはいないが一部緩んでおり、裏側の板に甲冑師の銘が見られる。「上州之住 早乙女家親」とある。上州(常陸の国)に住んでいたという意味である。

兜前立て: U字型の鍬形として知られているもので、二つの鎌形の板が真鍮の鍬形台に差し込まれている。この差台には菊花の飾りが彫り込まれている。鍬形台の真ん中に、吹き返しと同じ紋がある。

甲冑一式  (UEM18240) 写真 ゲオルゲ・アレキス・パントス (George Alexis Pantos
甲冑一式  (UEM18240) 写真 ゲオルゲ・アレキス・パントス
(George Alexis Pantos)
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詳細画像

面頬

荒々しい表情の烈勢面。表は錆塗り、裏は赤で塗られている。取り外し可能な鼻が付いており、おそらく馬毛の口髭、赤い唇に歯は元々銀だったのが今は暗い色に変色している。

首の保護は5枚の黒く塗られた板で出来ており、紐は深緑だが一番下の板には多色の紐が使われている。

喉輪

喉輪と呼ばれる、更なる首保護が首の保護の下に付いている。黒塗りの輪が首の一部首を保護している。ここから、2枚の黒塗りの鉄板が、深い青の組み紐で繋がれている。また、下方3列に複数色の組み紐が施されている。

胴

胴は5枚の板から成り立っている。胸板部分は両側に要があり、小ぶりの板が繋がれている。左側に1枚、右側に2枚、背板に1枚、これらが横板に縄で繋がれている。

これは仙台胴と言われるものである。

板の表面はなめらかな錆塗りで褐色。外側の縁は全て板に少し盛り上がった飾り部分があり、これは多分草模様の輪郭を見せるためであろう。布目(彫布目象嵌)技法で、銀の象嵌があり、蔓と小さな模様、一部は兜に見られるのと同じ紋、また水草の澤瀉紋が見られる。胸板は横長3部分からできている。1番上は簡素で上の縁に向かって曲がってのびている。2番目は装飾性の高い金物(据文金物)と上記の二つの紋がついており、これらは全て赤銅(銅に僅かに金を加えた合金で、青黒くなるように故意に着色されている)で出来ている。

背板もほぼ同じ様に装飾されている。

胸板から背板にかけての鉄製の肩庇いは、しっかりした綱に加えて、両方に大きな紋(六つ星)付の留め金がある。

外縁の全てにメッキされた細い金物が付いており、草模様が艶のない地に彫り付けられている。背板には大きな黒塗りされた腕木があるが、これは旗を固定するためのもので、旗の柄を受ける緩衝が付いている。

胴の全体は金を施した革で裏打ちされており、質の高さを示している。

草摺(くさずり):草摺はよくあるように胸板と背板に繋がれているものではなく別作りで、輪と留め棒で固定するようになっている。2部分から成り立っており、一つは4つ、もう一つは3つの草摺りで、黒い板が密に編まれた青い紐で繋がれており、一番下の板は複数色の組み紐が3列に並んでいる。

袖

中型。6枚の黒塗りされた板が深緑の紐で繋がれており、7番目の板は2列の複数色の組み紐が施されている。

袖

同上

小手・籠手(こて)

腕の保護は鉄板で補強された良質の鎖帷子が、緑の錦地の上に付けられている。上腕部分はひょうたん型の板であまりみかけないものであるが、上部に繋がれたメッキの丸い箱があけられるようになっている。おそらくこれは薬入れと思われる。下腕の鉄板の肘と手の甲に家紋が付いている。

Nærbilde av rustningen
甲冑 UEM18240部分。錆塗りの小手部分が楔帷子の袖に付けられている。手の甲には家紋が施されている。手に取り付けるための漆塗りの鉄と青い紐の一部が見える。緑の錦織の下衣には編み紐の飾りと革の飾りが見える。 写真: ゲオルゲ・アレクシス・パントス

小手・籠手(こて)

同上

脛盾・膝甲・佩盾(はいだて)

3列の幅の狭い鉄板が、3-4-3で組み合わされており、一番下の部分には周りを盛り上がった板に囲まれた円形の板ががある。すべては緑の錦織の上に楔帷子を施したものである。

脛当・臑当・髄当(すねあて)

3列の縦長の板が並んでおり、全ては黒く塗られているて、緑の錦の上に楔帷子を施したものである。足の内側は金で装飾された革。

脛当・臑当・髄当(すねあて)

同上

By ペール・タリエ・ノールハイム 著 ラーシュ・リーサン、アンネ・ホーブー編集 マグヌスセン 矢部直美 日本語訳
Published June 11, 2025 1:56 PM - Last modified Dec. 9, 2025 3:34 PM