
詳細説明
オリバー・スミス(Oliver Smith)は1884年に民族学博物館にこの甲冑を寄贈した。ノルウェー人 ハルボール・ハルボールセン(Halvor Halvorsen)は14歳で船乗りになったが、配置された船の船長が過酷だったため逃げ出した。その後、別の善良な船長の名前を貰って自らの名前をオリバー・スミスに変えた。その後何年もの航海経験の後、兵庫県の神戸で水先案内人の仕事を得、結婚し子供も設けた。1880年代に彼は450にのぼる様々な物品をクリスチャニア(現在のオスロ)の民俗博物館に寄贈したが、その中に1884年に寄贈された2領(くだり・りょう)の甲冑も含まれている。
この甲冑一式は完璧で、以下の部分により成り立っている。
兜
兜の鉢部分は36枚の三角形の板で作られた、筋鉢。板は錆塗りと言われる過程を経て茶色に着色されている。これらは頂上の天辺(てへん)と呼ばれる穴部分に向かい合わせられ、その穴は天辺金物と言われる5重の真鍮の盛り上がった取り付け台に囲まれている。兜の正面部分には高く盛り上がった前庇があり、型抜き染めの革と縁は真鍮である。
兜の頂点から、三つの菊花を象った真鍮の釘で真ん中に取り付けられているのは前立てを受ける台である。
上部の2枚の板は外側に反り返った吹返しでし。上には型抜きで染められた革と真鍮の縁どりが前庇と同じ様に付いている。そこには金メッキの真鍮でできた、6角の中に三角の家紋があしらわれている。吹き返しの外側部分は金色に塗られた地の上に赤と複数色の紐が編み込まれている。
鉢の後ろ側には、揚巻が真鍮の輪に結ばれている。
前立て: 木製の金メッキされた大きな龍。
錏(しころ): 首の保護のための錏は、4枚の鉄板でできており、上の3枚は黒く塗られ、濃端のある紺色の紐で、一番下の1枚は金で着色され、赤と黒、それと多彩色の紐で繋がれている

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面頬
荒々しい表情の烈勢面(れっせいめん)で、取り外し可能の鼻がついており、赤褐色で塗られている。長い口ひげがあり、兜と同じ様に4枚の板からなる首の保護が兜と同じ様に紐で繋がれている。内側は赤色。
胴
5枚の板からできており、そのうち4枚は互いに蝶番で繋がれているが、1枚は右側で紐で綴じられるように開いている。これは仙台胴と呼ばれるものである。板は錆塗りという技術で兜と同じ様に茶色に塗られている。胸板の上部は型抜染めの革に真鍮の縁で、幅の狭い板は3つの真鍮の金物で繋がれている。2枚の板は青白い編み紐で繋がれている。2つの真鍮の輪が胸板に取り付けられているが、一つは采配のため、もう一つは、布をかけるためである。胸の部分には、二つの葉を象った杏葉(ぎょうよう)が肩の結び紐の高紐を覆うために付けられている。これらは青い革で、三角が六角形の中に置かれた家紋(亀甲持ち内に三つ鱗)が付いている。背板には絹で作られた総角(あげまき)を付けるための大きな真鍮の輪に付けられた飾りがある。肩紐には、小ぶりな保護小袖があり、3枚の着色された鉄板が、紐で繋がれてる。
草摺: 6組の着色された革でできており、濃淡のある紺色の紐で繋がれている。下部に金色の板が2枚あり、赤と複数色の組み紐が使われている。これらは、胴に角でできたボタンで留められている。
袖
7枚の着色された鉄板で、濃淡のある青、赤、複数色の紐で繋がれている。上部は真鍮製で上が茶色の革で正面は型染された革で装飾されている。3つの真鍮飾りが調整のためについている。真鍮の飾りには真鍮の輪があり、長い赤の絹紐の房が飾られている。肩の保護部分を締め、速度のある動きをしても翻らないようにしている。
袖
同上
小手・籠手(こて)
上部は3x5枚の茶色の鉄板が鎖帷子で繋がれ、青、緑、金の錦織の上を覆っている。3枚の茶色の板は下腕を覆うように蝶番で繋がれている。手の部分は4枚の茶色の鉄板で、兜と同じ真鍮と銅で作られた紋が付いている。
小手・籠手(こて)
同上

手袋
長手袋は裏革製で、菱形の浮き模様が施されている。
脛盾・膝甲・佩盾(はいだて)
五列の茶色の革板で青、緑、金の錦織の上に取り付けられている。型抜きで染めた革は詳細に作られており、紫色の平紐が胴部分に固定するのに使われている。裏地は木綿。
脛当・臑当・髄当(すねあて)
4枚の茶色の鉄板が蝶番で繋がれており、錦織と金色の革に取り付けられている。裏地は青の木綿。
脛当・臑当・髄当(すねあて)
同上
靴
色塗りされた革で作られた重たく頑丈なもの。芯は裏革で、裏革の紐が足の周りに固定するために使われる。
杏葉(ぎょうよう)
胴の上部を保護するために覆う物。杏子の葉を象っているため杏葉と言われる。
錆塗りは、漆に鉄粉あるいは錆びた鉄の粉を混ぜ、下塗りの上に塗る方法である。塗るごとに各層を湿気の多い環境に置く。この方法で表面の出来上がりが古びて錆びたような仕上がりになる。